総合商社は理系出身者でもやっていけるのか?(工学部大学院卒の私は数百億円のプロジェクトをゼロから作り差配しています。)

商社マンの TED山本です。

今日は、理系出身者でも総合商社やっていけるのか?という疑問に答えるブログです。

本ブログの内容は以下のとおりとなっています。

  1. 総合商社は理系出身者でもやっていけるのか?
  2. 理系大学院卒の一つの有望な就職先になっている総合商社。
  3. 総合商社では、理系・文系の差なく成長とチャレンジの機会が与えられる。
  4. まとめ

私は工学部大学院卒で商社マンになりました。39年ほど前のことです。

紆余曲折ありましたが、会社人生の後半に、理系出身者ならではの、数百億円のエンジニアリングプロジェクトをゼロから作り上げることができました。

39年の商社マンとしての経験に基づきお話しします。

 

総合商社は理系出身者でもやっていけるのか?

結論から言えば、総合商社で理系出身者は、しっかりやっていけます。理系出身者の私が言うのですから、間違いありません。

進取の気鋭があり、新しい価値あるものをビジネスとして生み出す気概のある人間で、人との交わりに抵抗のない方は、理系であろうと文系であろうと、商社マン・商社レディに向いていると言えます。

下に示したのは、五大総合商社のトップにどれだけ理系の出身者がいるか示したものです。

五大総合商社の会長・社長の学歴(理系・文系)(2020年11月現在)

会社名 役職 氏名(敬称略) 出身大学と学部・大学院終了の有無 理系・文系
三菱商事 会長 小林健  東京大学 法学部 文系
社長 垣内威彦 京都大学 経済学部 文系
三井物産 会長 飯島彰己 横浜国立大学 経営学部 文系
社長 安永 竜夫 東京大学 工学部 理系
伊藤忠商事 会長 岡藤正広 東京大学 経済学部 文系
社長 鈴木 善久 東京大学 工学部 理系
住友商事 会長 中村邦晴 大阪大学 経済学部 文系
社長 兵頭誠之 京都大学 工学部 大学院卒 理系
丸紅 会長 國分 文也 慶應義塾大学 経済学部 文系
社長 柿木真澄 東京大学 法学部 文系

 

10名の会長・社長の内、3名が工学部卒の理系です。全体の3割が理系出身者ということになります。

私の所属する会社でも、2割から3割は理科系の学部卒または大学院卒の学生採用ですので、社長の割合もほぼ同じ、ということが言えます。

ルーティーンで決まった仕事をコツコツとやり続けることを好んだり、一人で人とは話さずコツコツ研究活動をやることを好む方には、向いていない職場です。

一方で、総合商社のビジネスは、自らビジネスを組み立てて、新たな価値を生み出して、お金を稼いでいく仕事です。理系・文系に関わらず、そういうことに興味と熱意を持っている人にはピッタリの職場です

理系の頭脳を持ちつつも、人とコミュニケーションをしながら、共にビジネスを組み立てられる意欲と能力のある人間であれば、入社後しっかり活躍することができます

私はそういう例を数多く見て来ました。

 

理系大学院卒の一つの有望な就職先になっている総合商社。

各商社、ばらつきはあるものの、2割から3割程度の理系学生を採用しています。

私の入社した35年前にも、各商事会社は、2割程度の理系の人間を採用していました

当時の理系採用者の総合商社志望動機は、大学進学後、高等数学や、強度計算や、図面作成や実験が向いてないので、総合商社でも入ってみるか、というどちらかと言うと消去法的な選択をされる方が多かったと思います。

かく言う私も、エンジニアの適正に疑問を持っていたので、この業界に入ったのでした。

しかしながら、最近入社してくる大学院卒を含む理系学生は、大学院に進学する過程で、将来の有望な就職先の1つとして、総合商社を考えている様です。

エンジニアとしてやっていく自信はあるが、もっとプロジェクトものや、海外との仕事をしていきたいと言う積極的な攻めの理由で総合商社を選択することが多い様です。

理系出身者が、総合商社に入社して、文系出身者と伍して活躍していることを、今の学生さんはよく知っているので、この様な選択が当たり前の様にできる様になったのだと思います。

 

総合商社では、理系・文系の差なく成長とチャレンジの機会が与えられる。

理系出身者の仕事は、かつては技術専門職的な意味合いが強かった

私が総合商社に入社した35年前は、理系出身者はニーズがなければ採用されませんでした。

私が配属されたのは大学の学科と密接に関連した部でした。

配属後、関係会社で、現場工事を行っている会社に出向させられて、ヘルメットをかぶって安全靴を履き、作業着を来て、現場作業に5年ほど従事していました。

また、先輩の工学部出身者は、5年ほどコンピュータを使ったリスク評価会社に出向して、そこからまた政府系の機関に出向して仕事をしていました。

その先輩はまるでコンピューターソフト会社のSE(システムエンジニア)の様な仕事をしていました。

35年前、私の入社当時は、理系知識を生かして、専門的な仕事をこなすことが多かったのです。

 

現在総合商社では、理系であろうと文系であろうと同じ条件で機会が与えられている

会社にもよるでしょうが、経済学部や法学部の学生がランダムに配属される様に、理系出身者もランダムに配属されています。

理系だからこの仕事、文系だからこの仕事、と言うのは基本的にないのです。

この点が、私がこの業界に入った頃と大きく異なるところです。

ただ、人が財産の総合商社では、社員にいろいろな業務・ビジネスの経験をさせつつ、時間をかけて、社員を一人前に育成していきます。

この点は、過去も現在も変わらない点です。とにかく人に対する投資は半端ではありません。

私はキャリアの中で、5年ほど関係会社のエンジニアリング会社で、海外の製品を国内で売り歩く、セールスエンジニア、の仕事をやっていました。

別の関係会社では、経理課で、係長もやらせてもらいました。部下の、頼りになるけれど、とてもきつい女性職員の方におんぶに抱っこで、 「TEDさん、何度も同じことを聞かないでください」、と怒られつつも、月々の締め、税務決算に会社決算も、親会社の経理の方の指導で行っていました。

経理財務の素養を叩き込まれました。

また、お客様が欧州の大企業と締結した、大型長期契約の契約履行を、お客様の代理で行って、日々契約履行、契約の修正、海外の顧客との調整して会議、ディベート形式での集団交渉を行いました。

全部で400ページ以上もある、英文契約書を隅から隅まで読んで、履行業務をやったり、実情に合わない契約の改定交渉をやったりしました。

その過程で、契約書の成り立ち、契約書の作り方、契約交渉の基本と応用を身につけることができました。

お陰様で、一人で新しい取引先のところに乗り込んで、契約交渉を行い、現地で契約案文の精査をして、場合によっては、英文契約を自ら作ることもできる様になりました。

商社マンは、自分で契約書を書けるくらいでなければならない、と言うのが、私が入社した頃の部長の口癖でしたが、まさにその通りの能力を身につけさせてもらいました。

海外駐在も、一人前になるために必須で、異なる文化、ビジネス環境の中で適応してビジネスを作り上げる経験をしていきます。

私は欧州とCIS(旧ソ連圏)に都合10年間ほど駐在しました。

中には、会社人生の70%以上海外駐在という方もいます。

こう言う経験を通して、社員は一人前の商社マン・商社レディに育っていき、自らの裁量で仕事を創り出せる様になります。

 

自らの裁量で仕事を作る時に、理系出身者の特性が、その仕事に色濃く出ます。

そうやって一人前になってから、各人が持っているバックグラウンドが、創り上げるビジネスに色濃く反映されてきます。

私が、キャリアーの後半に作り上げたビジネスの一つに、日本国内に溜まっていて処理の難しい関係物質を海外に持っていって処理して、再資源化してリサイクルする、と言うビジネスがあります。

最初、処理をやってくれる海外のサプライヤーを探し、世界中の候補の中から、ある欧州企業に目をつけて、これを日本のお客様にオファーしました。

交渉が進む過程で、このサプライヤーには処理できない物質があり、これを除去する必要が生じました。

私は、欧州駐在中のネットワークを駆使して、この物質の除去を行う別会社を見つけ、技術コンサルの力を借りつつも、その除去スキームを作り上げて、メインのサプライヤーと合体させて、このビジネスを作り上げて、成立させました。

この様なことは、技術系の私でなければ、決して作り上げることのできなかったビジネススキームです。

 

20歳台から30歳台は、与えられた仕事を、的確にこなし力を養って、商社マン・商社レディとしての基礎を作り上げます。

勝負は、40歳台からで、それまで積み上げた実力を使い、大きなプロジェクトを作り上げ、お客様のお役に立ち、しっかりとした儲けを生み出すビジネスを創り上げると言うのが、総合商社に務める私たちのビジネススタイルの一つだと思います。

その過程で、各人の持つ理系・文系の色合いが、それぞれの仕事に出てくる、と私は考えています。

 

まとめ

今回の記事のまとめは以下のとおりです。

  1. 進取の気鋭に富み、目の前の課題にチャレンジしていける人なら、理系・文系に関わらず、総合商社で活躍することができます。
  2. 総合商社は理系大学院卒の有望な就職先になっています。理系出身者が対等に文系出身者と伍して活躍しているからです。
  3. 総合商社では、理系・文系に関係なく、成長とチャレンジの機会が与えられます。人への投資は非常に手厚く行われます。社員は、海外駐在、関係会社への出向といった色々な経験を通じて、一人前になっていきます。
  4. 自分の裁量でビジネスを組み立てる様になった時に初めて、文系・理系と言ったバックグランドが、作り上げるビジネスに色濃く反映されます。

 

某総合商社に勤務して39年、色々な経験をしてきました。成功も失敗も。

海外駐在の経験もありますから、ビジネス関係でご質問のある方は下に登録して、コンタクトください。

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長く勤める間、私はアップダウンの大きな経験をしてきました。

好調の時は、新たなプロジェクトが話題になり、テレビの番組で取り上げられ、インタビューされる事もありました。

一方で、駐在中の不手際の為上層部の逆鱗に触れて、窓際族になり、どん底を経験したこともありました。

そんな折出会った瞑想とヨーガの力で、私は何も無かったスクラッチの状態から、数百億円のビジネスを作り出すことができ、復活する事が出来ました。

この驚異の瞑想とヨーガの大きな力にご興味がある方は、以下のブログ記事をお読みください。

https://ted-yamamoto.com/meditation-summary/

 

 

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