ビジネスの交渉の秘訣はWIN-WINを目指すこと。(商社営業で39年の経験に基づき説明します。)

こんにちは 商社マンのTED山本です。

私は商社マンとして、数多くビジネスの交渉に携わってきました。

かつて、私は自ら起案した鉱山への数百億円の投資プロジェクトの交渉団のヘッドとして、相手企業の交渉のヘッドと、互いに会社の利益をかけて、交渉を行ました

この交渉では、1年間の交渉をへて合意に至り、その結果、私は鉱山会社の副社長として働くことになりました。

また、自ら企画した数百億円規模のプロジェクトでは、お客様との交渉に加え、国内外のサプライヤーや下請け企業に参入してもらうための交渉を行いました。この交渉も難航を極めましたが、粘り強く交渉しこれを完了させました。

私はこのビジネスで、プロジェクトマネージャーとして履行業務を行うことになりました。

自社の利益をかけて行ったビジネスの交渉で得た知見をベースに、今回のブログを執筆しています。

本ブログの内容は以下の通りとなっています。

  1. ビジネスの交渉人はWIN-WINを目指します。何故でしょうか?
  2. 交渉はコミュニケーションの一つの形です。相手を理解し、粘り強く合意を目指します。
  3. 誠意を持って交渉し、デッドロックに陥ったら、創造性を駆使して合意を目指します。交渉は創造的な作業なのです。
  4. まとめ

それでは、商社マン人生39年、数多く行なってきた、ビジネスに於ける交渉に基づきご説明します。

 

ビジネスの交渉人はWIN-WINを目指します。何故でしょうか?

それは、お互いに利益がなければ、ビジネスの交渉はすぐに破談になるからです。

テレビ番組や映画で、敏腕の交渉人が登場し、相手を出し抜いて、自分たちに有利な交渉をする場面があります。

敏腕交渉人に翻弄された相手は、後になって、自分の合意が圧倒的に相手に有利、自分たちはまんまと乗せらられてしまったと歯軋りをして悔しがる、そんな感じです。

ビジネスの交渉において、そういうことは起こりませんし、たとえ起こっても、それはつまらない合意で、その様な交渉を行う交渉人は敏腕でもなんでもありません。

ビジネスに於ける交渉の目指すところは、交渉の結果、相手企業にとっても自社にとっても利益をもたらすWIN-WINの状態を作り上げることなのです

国際政治の交渉、例えば日露懸案の北方領土の交渉や、日韓の竹島の領有権に関する交渉というのは、どちらか一方が勝つか負けるかの交渉になってしまいます。

国家間の交渉は、否が応でもやらなければならないものが多いからです。隣国は選べず、互いに望まなくても付き合い続けなければなりませんからね。

その結果、その時々の国力の優劣が、交渉の結果に色濃く現れて、必然的に勝ち負けが如実に現れます。

一方でビジネスの交渉は、お互い自社に利益があるから交渉をするので、ベースが全く異なります。

一方的に不利になるような契約なら、結ばなければ良いのですから、直ぐに交渉は破談になります。

お互いに交渉して合意を得ることに利益あり、として交渉を始めますから、自社の利益を最大限にしつつ、相手の利益も考慮しつつ、交渉をまとめていくのが、交渉人の腕前なのです。

 

一方的に不利、一方的に有利な合意事項は長続きしない。

交渉相手会社の力が圧倒的に強く、いやいや無理な条件を飲まされてしまうことがあります。

逆に、自社にとって一方的に有利で、交渉・契約相手に圧倒的に不利な条件を無理やり飲ませたとしたら、相手は2度とこんな一方的な条件を課す相手とは取引はすまいと思うのです。

私はかつて、一方的な契約をして、結果大切なパートナーに逃げられた経験があります。以来自社へのみ有利な合意はすまいと自らを戒めています。

ビジネスの取引が、互いにとっての利益を最大化する、という趣旨から行けば、お互いにとって美味しいところのある、WIN-WINでなければならないのです。

 

交渉はコミュニケーションの一つの形です。相手を理解し、粘り強く合意を目指します。

交渉はコミュニケーションの一つの形。自分を理解し、相手を理解することから交渉が始まります。

交渉を始める時に大切なことは、まず自分たちが何を勝ち取りたいのかを、理解することです。

交渉に入る前に色々な準備を行います。相手の状況を調べたりするのも大切な要素ですが、まずやらなければならないことは、交渉人として自分が勝ち取らなければならない大切なこと、譲れないことを予め明確にしておくことです。

自分としては、合意金額がなんとしても譲れない条件なのか、いやそれよりも、投資した際に、重要な取締役のポジションを獲得することなのか、はたまた、株主総会の議決権で、いくつかの重要事項で拒否権を持つことなのか、と言うことを整理します。

私はサラリーマンですから、上司や同僚のキーパーソンに、私の重要事項に賛成してもらえるか、または賛成せずとも同意してもらえるのか確認します。この条件だけは勝ち取ってくれよ、と上司から聴取するのも大事なことです。

大抵の場合、交渉は通信ベースで始まります。

通信ベースでコミュニケーションしながら、この条件は合意、この条件は先方の主張を受け入れる、この条件は互いの主張がぶつかり合って通信ベースでは合意できない、と言うことを一つ一つ整理していきます。

気をつけなければならないのは、お互い同じ言葉を使いながら、実は相手は別のことを考えているような場合です。後で揉め事の原因になりますので、必ず書面でくどいくらい、きちんと書き込んで、同意・合意を取り付けるようにすることです。

逆に、相手が頑なに拒否していたことが、誤解に基づくこともあります。

そう言う事の無いように、丁寧にコミュニケーションを重ねていきます

やはり最後はFace to Faceで、相手の顔を見ながら、きちんと自分の口で説明したことを相手に聞いてもらい、相手の疑問点に答えていくことで、誤解や思い込みを解消していき、理解を深めていきます。

 

対立する内容を詰めていき、粘り強く合意を探ります。

ビジネス関係は、詰まるところ、書面による合意である契約に基づいて、最終合意が確認されます。

あるビジネスを共同で実施する、物を売り手から買い手が買い取るときの価格や品質や納期合意をする、といったことも全て書面になります。

複雑な大きなプロジェクトや、投資などでは、多くの契約項目があり、それら全てについて合意していく必要があります。

例えば投資ビジネスの議論がある程度深まったら、その条件を書面にして合意していこう、と言うことになり、どちらか一方が投資に関する株主間合意書の案文を作成します。

通常は投資受け入れをする方とか、より多くの株式のシェアをとる、強い立場の会社側が案文を提示します。

投資に関する目的条項から始まって、色々な詳細な条件を定めた上で、紛争が起こった場合の解決の仕方、例えば、仲裁の条件は、ICC(International Chamber of Commerce)のルールに基づくとか、仲裁地はどこにするとか、準拠す る法律はどこの国の法律にするかまで、多くの項目があります。.

これらを可能な限り通信ベースで合意を図っていく作業を行っていきます。

この段階で重要なことは、正確で的確なコミュニケーションです。

なぜ、この項目について、我々の主張が重要なのか、とか、この条件は相手の会社にとっても決して悪くない条件だとか、丁寧でわかりやすいコミュニケーションに努めることです。

 

誠意を持って交渉し、デッドロックに陥ったら、創造性を駆使して合意を目指します。交渉は創造的な作業です。

Face to Faceに委ねられる項目は、互いにとって譲れない項目ばかりです。

自社の利益をかけて、相手と膝詰めで行う交渉は、神経のすり減る、神経のピリピリする交渉になります。

その中で、私が大切にしていて、Face to Faceの交渉に重要だと思うことをお話しします。

 

互いの信頼関係を醸成する。

通信ベースの交渉の時点から、誠意を持った交渉に努めます。

同時に交渉相手が、自分達の誠意ある交渉相手に相応しいのか、しっかり見定めていく必要があります。

ビジネスの合意に、騙したとか出し抜いたと言うことは、あってはならないと思います。

契約履行を通して、互いが十分な利益が得られることを念じつつ、信頼関係を醸成していきます。

そのような互いの信頼感をベースにして、始めてFACE to FACEの交渉が機能するのです。

不用意な一言で相手に不信感を抱かれることのないように、また先方の不用意なコメントを大袈裟に取り上げて、誤解が不信感が膨らまぬよう、相手の真意を見定めていくことが、交渉成立のキーだと思います。

誠意を持って交渉する。

ギリギリの交渉をすればするほど、誠意が重要になります。

交渉に於ける誠意とは、「出来ることは出来る、出来ない事は出来ない」とはっきりと述べる勇気だと思います。

勿論、「その条件は飲めないが、こう言う条件なら合意できるがどうか?」というフォローアップも重要なことです。

自社の利益がもしかしたら損なわれる可能性がある難しい合意を形成する時に、交渉相手の誠意が認められること、自社の誠意を認めてもらえることが、非常に重要な要素になります。

 

創造性を駆使して合意条件を作り出します。

膝詰めで交渉していると、互いの主張がぶつかり合って、ニッチもサッチもいかないことがあります。

この条項は譲るからあの条項は譲ってくれとか、トレードできることは全て出尽くして、互いの主張がぶつかり合って、交渉が進まなくなるデッドロックの状況に直面することがあります

そのようなデッドロックを打破する方法を、私は過去の交渉に基づいて会得することができました。

それは、相手の主張を聞き、自社の譲れる限界を見定め、創造的に交渉を行っていくことです。

私は、まず、相手がなぜこの条項が飲めないのか、どうして、「NO」なのか、相手の説明を聞くことにしています。

契約条文の全てがダメなのか、契約条文のこの部分は気にならないが、この点は会社のポリシーとして受け入れられる、といったことに耳を傾けます。

私は、「この条文を変えるとした、こう変えると貴社では受け入れられると言うものはありますか?」とか「この条文の中で、どうしても譲れない条件はどれですか?」とか「あなたが第三者なら、どんな折衷案を私たちに提示しますか?」とか、相手の本音を引き出していきます。

鉱山へ投資交渉の過程で、出資引き上げ条項の交渉を行った時のことです。

当社の投資案件の交渉で、当社はある時点で投資に意味がなくなった時、投資引き上げを行い、その時点での出資株式に見合った金額を回収するという条件を提示しました。

投資先とどうしても合意に至らないデッドロックに陥ったので、色々な質問をした挙句、相手は、その株式が、第三者にいくことを恐れていて、それを自社で買い上げるにあたっては、比較的緩い条件で引き受ける用意があることがわかりました。.

その日の交渉を終えて、私の下で働いてくれているリスクマネージメントの課長と、法務部の課長と話し合いました。

交渉相手の懸念を迂回しつつ、当社の主張を維持する契約条件が作り上げられるか?と言うのが趣旨です。

リスクマネージメント課長が、素晴らしい条件を思いつきました。それを法務課長が契約条文に仕立て上げます。

次にやることは、自社の上司達にこの条件を飲んでもらうことです。

社内では、交渉案を社内で売る、社内で交渉案を買ってもらう、などと言う作業です。

交渉の前面で苦労している我々と、東京で我々の報告を聞いていて臨場感のない上司との間では、その切迫感に大きな差がありました。

書面で状況を説明し、我々の折衷案を契約条文にして東京の上司達に提示した上で、早朝から電話会議をしました。

リスクを取るのは避けたいと言う上司を、なだめすかして、我々の折衷案を受け入れてもらいました。

(実は、この案が飲んでもらえなければ、私は交渉のヘッドを降ろさせてもらいます、と上司を脅して漸く受け入れてもらいました。)

この条文を日中相手との交渉で提示し、めでたくその条文を合意しました

それまでデッドロックであった条文一つ一つに対して、同じようなアプローチを行なっていきました。

氷山の氷が溶けるように、一つまた一つ、デッドロックであった条文を合意に持っていくことができるようになったのです。

そうすると、交渉相手のHeadから、ある条文について、「こう言うふうに条件を変えれば、当社は受け入れられるが、TEDの方はどうか?」

と先方から提案がされてきました。検討の末、その条文を受け入れました。

その後の交渉は、デッドロックであった条文一つ一つを、先方と一緒に合意できる形に作り替えていく、交渉相手と共に行う創造的な作業になりました

とんとん拍子に交渉が進み、独占交渉権の期限内に、合意を形成することができたのでした。

交渉に於いては、新たな受け入れ可能な条件を作り出す創造性も、非常に重要な要素だと実感しました。

 

まとめ

本ブログのまとめは以下の通りとなります。

  1. ビジネスの交渉人はWIN-WINを目指します。それは、お互いに利益がなければ、すぐに破談になるからです。
  2. 交渉はコミュニケーションの一つの形です。相手を理解し、粘り強く合意を目指します。
  3. 誠意を持って交渉し、デッドロックに陥ったら、創造性を駆使して合意を目指します。交渉は創造的な作業なのです。

 

某総合商社に勤務して39年、色々な経験をしてきました。成功も失敗も。

海外駐在の経験もありますから、ビジネス関係でご質問のある方は下に登録して、コンタクトください。

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長く勤める間、私はアップダウンの大きな経験をしてきました。

好調の時は、新たなプロジェクトが話題になり、テレビの番組で取り上げられ、インタビューされる事もありました。

一方で、駐在中の不手際の為上層部の逆鱗に触れて、窓際族になり、どん底を経験したこともありました。

そんな折出会った瞑想とヨーガの力で、私は何も無かったスクラッチの状態から、数百億円のビジネスを作り出すことができ、復活する事が出来ました。

この驚異の瞑想とヨーガの大きな力にご興味がある方は、以下のブログ記事をお読みください。

https://ted-yamamoto.com/meditation-summary/

 

 

 

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